[掛札逸美先生のお話から]

2018年4月7日(土)に、心理学博士でNPO法人保育の安全研究・教育センター代表の掛札逸美(かけふだ・いつみ)先生のお話を聞いてきました。興味深い内容だったので、その中から3話ほど、皆さまにお伝えします。最初の2話は、命を守る観点のお話、残りの1話は「子育てで一番大切なことは何?」というお話です。

(1) こんな事例がありました。朝、自転車に子どもを乗せて、保育園に向かっている途中、自転車ごと転倒したのだそうです。母親はその後、何もなかったように自転車を起こして、そのまま保育園に子どもを預けました。預ける時に、園には転倒したことを伝えていませんでした。

散歩に出かけたその子は、とても具合が悪そうで、園に帰ってから吐きました。非常事態と感じた保育士は、お医者さんへ連れて行きました。診断の結果は、頭蓋骨にひびが入った大怪我でした。母親に連絡をとったところ、「そういえば登園中に自転車で転んだ」と言いました。

母親は転倒したとき、自転車の後ろに座っていた我が子のダメージの確認を怠ったのでした。急いでいたのでしょうね。この事例から学べることは、もしも母親が「そういえば登園中に自転車で転んだ」と自分の失敗を思い出すことがなければ、この事故は、保育園内での大怪我になる可能性があったということです。この文章を読んでいる保護者の皆さま、自転車の事故は小さなものであっても、子どもの全身をチェックしましょうね。そして、必ず保育園にご報告ください。お願いします。

(2) こんな事例がありました。両親は我が子の熱が高めなことを認識しつつも、37.5度には達していなかったので、保育園に登園させました。保育園では、朝は受け入れたものの、時間の経過とともにぐったり度が増していること、熱が37.5度を超えたことから、母親に連絡を取りました。すぐに病院へ行くように勧めたのですが、母親はぐったりしているわが子に対して、一日様子を見て、明日の朝一番でお医者さんに行こうと思っていました。ところがその夜、残念ながら、大切な命はその輝きを永遠に失ったのでした。病死でした。

この事例から学べることは、子どもは「激変するこということがある」ということです。明日に延ばしてはいけません。

(3) 研究によると、学力、粘り強さ、自己制御力、思いやりといった人間が獲得すべき大切なことは、「生まれた瞬間から最初の3年間の間に、親が子どもにどれだけ話しかけたか?」で、すべてが決まるのだそうです。保育士も懸命に努力します。しかし、親子が1対1で向かい合って行う話しかけが重要なのだそうです。詳細は、「3000万語の格差」(明石書店)をご覧ください!
母と子

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